医療の多様性

先日、在宅医療の学会のジェネラリスト養成講座に参加しました。

この講座ではパーキンソン病、終末期の心不全、抗がん剤治療など多岐にわたったトピックを扱っていました。質疑応答ではパーキンソン病にはips細胞移植についての将来的展望や現在の抗がん剤治療はゲノム解析の結果に応じて薬剤を選択することもあるなど、最先端の医療の話を聞けました。在宅医療というと一見こういった話とは関係が無いように思えますが、実はそうではありません。例えばある肺癌の患者さんは今回ノーベル賞を受賞した免疫チェックポイント阻害薬オプジーボを専門病院で投与を受けており、その副作用には自宅で在宅医療機関が小まめに診察することなどで対処します。従って在宅医療でも最新の薬剤に対する知識や気付きが問われるのです。

また最近当院では血小板輸血も始めましたが、献血センターで集めた血液を分離抽出している現在の血小板製剤も、将来はips細胞から血小板製剤を作ることができるかもしれません。そうなると生産人口が減る日本でも安定した血小板の供給ができることになるのでips細胞への関心は必然的に高まります。さらに、がん治療ではゲノム解析の結果から使用する薬剤を決定する場合もありますが、同様に認知症に伴う徘徊、興奮などにおいてもゲノム解析の結果を踏まえて薬剤の選定も行えたら、治療への近道となり、ご本人やご家族の負担が減ります。病院や診療所では治療行為そのものが、それぞれの現場で病気のみならず、それに伴う社会問題も伴っていることがあります。その解決にテクノロジーの変化に目を向けることは臨床家としては大切であると考えています。

(タウン通信2019年6月5日号より)

Dt.matsubara 2019-06