
2025年2月1日・18日(土)のラジオ在宅NOWの放送のご案内です。
2025年2月前半のテーマは「故人の遺志について」です。
故人の遺志について(1)
進行:田中ヒロコさん 回答者:松原清二 理事長

松原先生、本日もどうぞよろしくお願いいたします。

よろしくお願いします。

今日はどのようなお話を伺いますか?

今回はですね・・・正月に実家の方に帰ったんですよ。

ゆっくりできましたか?先生お忙しいからお正月くらいは!

ゆっくりできました(笑)僕の実家は熊本県なんですよ。熊本県の実家、というか父の墓があるところ荒尾市というところなんです。
わかりやすいかどうか、だいたい熊本空港からなんだかんだで3時間ぐらいかかるところで、昔は三池炭鉱という炭鉱で町おこしをしてた場所で世界遺産にも指定されてるんですよ。そこで父は育ったもので、お墓もそこにあるんですね。

そこでちょっとこう、息子の勝手な感想を言うと・・・えらい遠いところに墓があるなという感想なんですよ(笑)

問題にもなっていますね、遠くてお墓参りに行けない。

問題になってる。お墓参りに行きづらい。それであんまり面倒見れないな。大変だな。と思いながら行ってて、なんでここに建てたんだろう。っていう風に思ってたんですよ。だって、僕東京に住んでるじゃないですか?東京に墓がある方がまめに掃除もできる。花も変えられる。いいかな。と思ってるんですけど、そんなに遠い所ってちょっと大変ですよね。

そこに代々お墓があったって感じなんですか?

代々じゃないですね。うちの父の父、つまり僕の祖父からそこに作ったんですよ。その祖父が亡くなった時に父が墓を作ったんですけど、そこの墓っていうのは丘の上にあってそこから見る景色が有明海とか島原とか島々が見えて、綺麗は綺麗なんですけど、忙しい時はこっちも見る暇ないもんですから(笑)

(笑)お話を伺っていると、理想のお墓のイメージですね。見晴らしがよくて日当たりが良くて。

そうなんですよね。うちの父も亡くなる前に、その僕の祖父の墓として作った時に「あぁこの景色気に入った。ここに墓を作ろう 」って言って。父はあと弟2人いるんですけど、僕から見たら叔父ですよね。もうここを気に入ったらここに墓作る、と言って墓作った。

普段僕は熊本県の荒尾の墓に行く時って、まあ1年に1回か2回ですけど、だいたいほぼとんぼ返りに近いんですよ。そうすると・・・「もう、そんなこと言うからちょっと大変なんだよな」と思って(笑)

確かに(笑)時間と労力と、すぐに行ける距離ではないですもんね。

ただね。今回ちょっと連休が長かったじゃないですか?余裕を持ってお墓を見てみて。九州の、特に熊本のお墓ってちょっと珍しいんですけど、墓石あるじゃないですか?墓石の名前、例えば松原家とか書いてあったりすると金色で書いてあるんですよ。

あ!西って違いますよね!?沖縄とかもすごい独特ですよね。やっぱり東と西でお墓も違うんだなって思ってました。

一つのところは病棟あり検査あり、外来もあり在宅ありってことになってくると四つ全部やると集中力そぐれちゃうんですよね。例えば外来をやっている最中に在宅の患者さんの件で、結構混んでいるインフルエンザの時期とか冬場とか相談されても集中できないんですよね。在宅の患者さんをたくさん見たいと思うんだったらやっぱり在宅専門の方がいいかなぁっていうふうに思いました。

僕も改めて余裕持って見て。金色だな。すごいなって。石は普通の黒だったりするんですが、金色なのは改めて知って「母親にあれ?金色だね」って言ったら「普通だよ」とか言われて。

熊本はみんな金色なんですかね?

僕が見た限りではみんな金色でしたね。その後、Google先生に聞いてみたんですよ。そしたら Google先生が、九州の長崎県、佐賀県、熊本県は金色で刻印することもあると。金色の理由っていうのが、 Google先生が言ってたもので僕の意見じゃないんですけど、見栄えを良くするため。

お墓がすごい立派で見栄えするでしょうね。

確かに立派だよなぁ、金色の刻印良いなと思ったんですよ。それから父親が言う島原の島々が見える景色を見てたら確かに有明海が目の前に広がってて。それで下の方がちょっと雲海がかっていて。それでで島原の島々が見えて。天気も晴れていて。これは確かにいいところだなと思ったんですよね。

素晴らしいですよね、景色が。

それで、翻って考えてみたんですよ。最近お墓の管理って遠方すぎて大変で、やっぱり永代供養にしたりとかそういう話もいろいろあるじゃないですか。あとは樹木葬とか。後世の人に迷惑かけない。そういうのもわかるんです。

例えば自分が実際お墓を作らなきゃいけないなった場合。ちょっと昔まで思ってたのが、そこの熊本のお墓とかを墓を移せばいいじゃないか、墓を移して骨だけ持ってくりゃいいじゃん、という風に思ってたんです。でもその光景を見た時に、それは残された人の傲慢な意見だなっていう風に思って。

松原先生の仰るお墓のそのイメージを頭に描くととても素晴らしいお墓ですし、仰る通りどっちの主観で考えるかっていうことですよね。あれ、松原先生はどうするんですか?(笑)ごめんなさい生前なのに(笑)

僕はもう東京ですね(笑)もちろん墓はまだ買ってないんですけど、やっぱり妻と子供にちょっと迷惑かけちゃうのはなって。

僕はなんだかんだ言っても熊本に行けるのは、子供の頃の夏休みに大体 1 ヶ月くらい祖父の家で遊んでて、世界遺産の三池炭鉱の炭鉱電車乗ったりとか、そういうのに対して一応思い入れがあるんで行くことはできるんですけど。妻とか子供にね。そういう経験ない人に熊本まで来てね。と思いなかなか言えないんでね。

そうなんですね。先生もここいいなって思われたのかな?って一瞬思ったので・・・。

それはそうなんですけど、やっぱり思いきれない。もちろん15年後とかはわかんないですけど、家族に対してちょっと負担かかっちゃうなって。

それでもお父さんとお祖父さんはやっぱりそこが最高な場所っていう風な感じですよね。

そうそう。そして自分がそこに例えば入らないのであれば、入らないなりのお墓の対処っていうのを考えなきゃいけないな。っていうのは思ったんですよ。

本当にこれって難しいです。私も父のお墓って迷って決められてなくて、時間かけた方がいいってアドバイスを頂いたので。
でもやっぱり故人の意思がどうだったかって後から聞けないから、なかなか難しいところだな、って。でも(松原先生の)お父さんはもうここだ。って決められてるっていうのは、行くのは大変なんですけど、故人がなんか満足してたらそれでいいのかな。

故人の意見がやっぱり大切で、若い人の都合っていうか、子供の都合で変えちゃうっていうのは問題なんじゃないかな。

だから先生は変えないでいようって変わったんですか?

そうですね。だから骨をこっちに持ってくるっていう考えはやめて、例えば行けないんだったらいけないで、向こうで何とかする方法を考える。例えば本当に誰も行けなくて、しなきゃいけないってなるんだったら向こうで永代供養するというような感じで考える、と。東京に連れてくるのはちょっと違うんじゃないかなって。

そうですね。でもそうやってお正月はご先祖様とちょっと繋がるところがあって。いいお正月を。

不思議ですよね。やっぱり仏壇の前でも、親父の写真は普通になんか会話できてるような感じになる。こういうのは、人っていいなって。

会いたくても会えないですもんね。そういうところで対話ができるって・・・いいお正月でしたね。先生、今日もありがとうございます。
(音声でお聞きになる方は下記のラジオを聴取ください)
icon-external-link 在宅医療について 2025年2月1日・8日(土)の放送
icon-external-link『ラジオ在宅NOW』FM西東京 ラジオライブラリー
この番組は、当院の院長 松原清二が日頃医療の現場で感じることを話し、在宅医療に対しての理解をより深めて頂く番組となります。第一週と第三週に本放送、その他の週は再放送をお送りします。
icon-microphone 放送日
2025年2月1日・8日(土)放送分 | FM西東京 84.2MHz