「心疾患と突然死」在宅診療NOW(在宅診療NOW 2020年3月)

タウン通信 まつばらホームクリニック

何十年もの間、心臓の病気を患っており、退院しても10日程度ですぐに入院してしまうということを繰り返している60代の男性がいました。心不全の影響でお腹はいわゆる蛙腹(かえるばら)で膨れ上がっており、退院すると心不全が悪くなってしまうため、足のむくみに加え、陰嚢部まで大きくなって股間部が擦れてしまい、歩けなくなってしまうということもたびたびでした。

まつばらホームクリニック『ラジオ在宅NOW』

しかしながら、年末の「年末年始は自宅で過ごしたい」というご本人の思いは強いものがありました。「自分で台所に立ち、好きな物を作って食べたい」という話をされており、実際、夜に診察に行くと、ダイコンの皮を包丁で剥いたり、鍋でグツグツ煮込みを作っている姿がありました。こちらとしても、「家でこのまま生活させてあげたいな」と感じたものでした。

治療としては、平日は数時間ほど点滴で強心剤や利尿剤を使ったり、お腹に直接針を刺して腹水を抜くということをしました。その結果、再入院を遅らせることができ、退院から20日以上たったときには、ご本人からえらく感謝され、「自宅でここまでしてくれて、本当に気持ちの中の突っかかりが取れた」とまで言ってくれていました。

ところがある日、意識をなくし、台所で顔面を打撲し、流血するということがありました。もともと危険な不整脈があり、体に除細動器を入れていたので、「また不整脈が再発したのでは」と考え、命の危険を考慮して入院の手はずを取りました。入院中も不整脈が多発したようで、しばらくして薬で落ち着かせることができ、退院にこぎつけたものの、すぐに不整脈を再発させて、病院に搬送されるも、残念ながら息を引き取られてしまいました。この方は入院中、延命治療は希望されていなかったようです。

救急病院の勤務医をしていた時には心疾患という性質上、すぐに命に関わる状態のときはどうするかについて、入院当日に患者さんご家族からご意向を聞いていたものですが、在宅診療を行っている今は、比較的状態が落ち着いている方が多く、なかなかそういう話はしづらいなあと思うことが増えています。しかし一方で、やはり急変時の話をしっかりしておかないと、ご本人の望まない最期になってしまうなあと考えさせられました。

●PDF版でご覧いただく方はこちらより
Dr.matubara 2020-3

検索

クリニック概要

医療法人社団 颯凌会
まつばらホームクリニック


〒202-0012
東京都西東京市東町4-14-18 かえでビル2FB
TEL:042-439-1250
FAX:042-439-1251

●お電話受付時間
AM9:00~PM6:00

●主な訪問地域
西東京市、練馬区、新座市南部、東久留米市、清瀬市、東村山市、武蔵野市他
当院より約半径8km~16km(要相談)


まつばらホームクリニックの訪問エリア|西東京市、練馬区、新座市南部、東久留米市、清瀬市、東村山市、武蔵野市当院約半径8km~16km(要相談)
訪問地域詳しくはコチラ

当院の紹介動画

ブログ カテゴリー

  1. マイナンバーカード 在宅医療版(医療DX)

    2024.08.30

    マイナンバーカード 在宅医療版(医療DX)

  2. めざましテレビ

    2024.06.10

    フジテレビ「めざましテレビ」熱中症対策

  3. 認知症の母を一人で支える~在宅診療NOW

    2024.01.12

    認知症の母を一人で支える~在宅診療NOW

  1. 「40度近くまで上がるところも…」3連休は“危険な暑さ” 熱中症に要注意【Nスタ解説】

    2023.07.18

    「40度近くまで上がるところも…」3連休は“危険な暑さ”…

  2. まつばらホームクリニック『ラジオ在宅NOW』

    2023.05.26

    西東京市のタウン通信より『在宅診療の今』

  3. news zero(日本テレビ)より、熱中症対策について松原先生(医師)への取材

    2022.07.26

    news zero(日本テレビ)より、熱中症対策について…

TAG