おーい、母さんあれ持ってきてくれないか?
はいはい、これですね。お父さん。
これはサザエさんでよく見かける夫婦歴何十年にもなる波平お父さんとフネお母さんとの会話です。まさしく以心伝心です。
先日診察の場面でこのようなことがありました。
先生、便がなかなか出ないんだけ・・・。
お腹を触ると、腸があまり動いていません。
そこで患者さんに私から質問しました。
下剤は飲んでいますか?
飲んでないですよ。
先生、下剤って黄色い薬ですよね?そうそう。あの黄色いの。ただ、私の心の中で一抹の不安があり、お願いしました。ちょっと飲んでもらうといった黄色い薬見せてもらおうかな?
はいはい、分かりました。と言って見せてくれた薬は、以前がんの骨転移に対し使用していた黄色の包装に入った薬でした。
そこで、私が指示した薬は別の黄色の包装に入った薬であることをお伝えし、現物も一緒に確認しました。本来であれば波平さん、フネさんのようにやり取りができれば良いのですが、医療の場合は今回の状況でも分かるように、お互いの思い込みが治療の停滞にもつながります。
在宅では、目の前で患者さんに的確な話をすることが大切だと改めて思わされる一例でした。