最近は地球温暖化が進み、世界的にも暑さが増し、日本の夏も例外ではありません。「最近なぜかだるい」「食欲がない」とお話しになるご年配の方が多く、ときに1日の往診の2割程度の方に、熱中症として点滴加療することもあります。
そんななか、6月末に、日本テレビの報道番組 news zeroの取材を受けました。訪問診療における高齢者の熱中症の実情を知りたいとのことで、私もちょうど全国に注意喚起してもらうのに良いかなと思い、同行取材をしていただきました。
理事長 松原 清二
梅雨明け以降の急な猛暑が続いた日のことでしたが、まるで図ったかのように、高齢者の危険さが伝わる事例が続きました。一例目は暖房を入れたうえに、ダウンジャケットを羽織っている80代女性で、前日から体の変調を訴えているケース。二例目はうだるような暑さのなかで毛布を羽織り、食欲がないという方。熱中症の処置として補液治療を行いました。
いずれも寒いと感じている方々で、我々は往診の度に室温を確認し、冷房を入れたりしました。
こうなる原因は、加齢に伴う体感温度のズレだと思われます。翌日のワイドショー「ミヤネ屋」にも取材映像が使われていましたが、出演のコメンテーターは驚きの表情をしており、高齢者は寒がる方が多い、ということが意外に知られていないんだなと思いました。
当院と連携している練馬区にある病院の事務長も番組を見てくれていて、「練馬区も夏場になると熱中症でバタバタと倒れる方が多く、入院が大変増えた時期がありましたが、ある年パタリと入院が減りました。調べてみたら区が高齢者住宅を訪問し、室温調整していたからでした」と話してくれました。
室温管理が出来ている病院や施設でも、まず熱中症になる方はいません。室温は26~27度程度にして、体感で寒いと感じればカーディガンなどを羽織ることをお勧めします。エアコンを使って、命を守る対策をしてください。
今回のテレビ取材の様子は当院ホームページにも載せておく予定ですので、ご参考になればと思います。
news zero(日本テレビ)の取材の様子はこちらへ
PDF版でご覧いただく方はこちら
ご自宅にはエアコンを(在宅診療NOW 2022年8月)
Dr.matubara 2022-8