ところが平穏な日々は長くは続きません。
重度の心不全からの腸管浮腫による立て続く下痢、足の浮腫の増悪が見られ、体液貯留による日々の体重測定での体重増加を認めるようになりました。
それでも、毎日強心剤や利尿剤の調整を行なって、一旦は症状は落ち着きました。症状が落ち着いてからは、日々訪問をしている当院のスタッフの特徴を冗談を交えながら話したりしていました。また、その際には、入院中の主治医の先生の話は体重や血液や画像データのことが主で、自分の心臓の病気は自分ではどうしようもないからと言われてつらかったと話をされていました。 ところがしばらくして体重はどんどん増えていき、やがては食事も取れなくなり、点滴で栄養を入れたりしていましたが、なかなか良くなりませんでした。ただそんな時でも患者さんは(俺にはまつばらクリニックがついているんだ)と言ってくれて、私も日に2度3度と診察に行ったりもしましたが、やがては腎臓の機能も破綻して、透析も考えなければならなくなりました。そこで、ご本人、お母さまと(在宅では透析は出来ないけれど、入院されますか?)と話しましたが、治らない心臓病に対してこれ以上の治療は希望はされませんでした。 その後、身の置き所がない体のダルさが出てきて布団の上でぐるぐる動き回る患者さんに対し、お母さんとしても(さすがに私も年だから、介護が大変だ)と話をされていました。それから入院も視野に入れながら、末期心不全として麻薬や鎮静剤などで症状緩和に努め、やがてはお亡くなりになりました。 お母さまは、(最期は息子の希望通り家で看取れて良かった)とお話されていました。今回は立場の違いこそあれ、ご本人のご意向を尊重しながら病院主治医、患者ご家族、当院スタッフが一丸となって関わり、患者さんの希望どおり、最期まで家で良かったと皆が思えて良かったと思いました。(前半を読む) ●PDF版でご覧いただく方はこちらより やはり家が良い(前半) やはり家が良い(後半)