先日、入院が半年以上の心不全の患者さんの会議をインターネットで行いました。
60代の長身の男性の方が小柄なお母さんと一緒にモニターに出てこられ、ご本人は(家に帰ってさ、風呂入ったり、たまには外に行ってみたいものだよ)と話をされていました。
それからその日の会議で退院予定日を決めたのですが、その後、入院中に冠動脈バイパス手術をした所が詰まったり、心不全が悪くなったりとなかなか退院ができない状況が続きました。受け手である当院もいつ帰ってくるのかなと思いながら、日々過ぎていましたが、ある日退院が本決まりし、その日は病院看護師と同行して退院となったので、我々も患者さんのご自宅で待機をしていました。
しばらくすると、患者さんは輸血、強心剤の点滴をしながら帰ってこられました。その光景には私も目が点になりましたが、患者さんの口からは(主治医の先生からはやれることは全部やるということで、今日は輸血もしてきたんだ)と言われ、「在宅」を支える医師として、この方やこれまでの主治医の気持ちに応えなければならないと改めて襟を正す思いでした。
帰ってきた翌日には(やはり家が良いな)と退院当初より顔の表情にゆとりが出ていました。わずかながらもお母さんの手料理やマクドナルドのビッグバーガーを食べたり、また妹さんや親戚の方々としばらくの間、自宅での持続点滴をしながら過ごされたりと、穏やかな日常を取り戻されていました。(後半を読む)
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やはり家が良い(全半)
やはり家が良い(後半)