先日、ご自宅および病院でどれくらいの方を看取ってきたか、統計を出してみました。
当院では、昨年はご自宅で48人、病院で3人と在宅看取り率は94%でした。例年では、当院が関わっている患者さんの90%程度は最期までご自宅で過ごされています。
厚生労働省の少し古いデータになりますが、平成24年度から27年度のさまざまな報告によれば、自宅で最期までという方は50%程度の希望はあるものの、実際には12・7%にとどまるとのことです。いかに自宅で最期まで看取るのが難しいかがデータ上うかがえます。
理事長 松原 清二
ここで当院の看取り率の高さはなぜかと顧みると、それは当院は最期までご自宅でという患者さんに対して、多種多様な希望に寄り添いながらも在宅で必要な医療は提供し続け、安心感を与え続けられたためと思っています。
結果、患者さん、ご家族共に自宅で生活を送るといった視点を大切にしながら、時に入院もしながらご自身の病状のご理解を深め、やはり家で過ごしたいという強い思いを持って全員で同じ方向に向かっていけます。だからこそ、「最期は家」が実現できるのではないかと思います。
在宅での看取りについてはさまざまな論文も出ていますが、多くの論文の中で「在宅看取りの基本はご本人とご家族の意向が強いときに成り立つ」と書かれていました。
終末期となれば、いろいろとご本人、ご家族共に人生の大波が来ますが、そこを見失わないように、我々在宅医療機関は患者、家族を支え、症状を緩和し、ご家族と共に気持ちを共有することが大切だと思います。
追伸
今回は在宅輸血について動画を作成しました。在宅での輸血によって本人のみならずご家族がどれだけ助かったのかを話されています。もし良かったら見てみてください。
PDF版でご覧いただく方はこちら
在宅での看取り(在宅診療NOW 2023年8月)
在宅での看取り(在宅診療NOW 2023年8月)