若年性重度心不全への当院の関わり(在宅診療NOW 2022年1月)

若年性重度心不全への当院の関わり(在宅診療NOW 2022年1月)

あけましておめでとうございます。
今年も地域の方々に、生活に根付いたご自宅での医療を提供したいと思います。さて、前回の続きです。重度心不全患者に我々がどう関わったのかをお伝えします。

独りで生活をしたいけどできない・・・。その場合は介護サービスが必要になりますが、介護保険適用は、原則65歳以上なら要介護か要支援認定を受けた方、40~64歳までならがんなどの特定疾病が原因で介護が必要となった方となります。そこには、心不全は含まれてはいません。

まつばらホームクリニック院長 松原清二
理事長 松原 清二

歩行をするのに手すりが必要、トイレに行くのにポータブルトイレが必要、身体が動かせないので身体を拭いたりするのにヘルパーが必要などの介護サービスは、心不全の場合は介護保険では受けられないのです。

そのため、生活の不足しているところをどうするかは、主たる介護者である親御さん次第で決まります。今回のケースでは、ご本人が「自宅で可能な限り過ごしたい」と強く望まれたので、親御さんも悔いを残さないように、我々スタッフと一緒にチームの一員として頑張ってもらうことにしました。

高齢の親御さんには、できることには限りがあります。その分、当院看護師が日々の点滴交換や皮膚のケアなどをヘルパーが来られない分まで行い、一回の訪問看護に半日かけていました。

また、息が苦しいなど症状がある場合は、治療方針を丁寧に説明したうえで、ご本人とチームが同じ方向を向くように努め、在宅でできる治療を目いっぱい行いました。

一方、そうしている間も、介護者の親御さんの表情などを読み取りながら、口では大丈夫と言っていても不安が強そうな場合は、日に数回訪問してメンタルケアもしていきました。

そんな時に、親御さんの口から「息子は仕事を辞めたら、親の介護をするためにヘルパーの資格を取るつもりだったんだ」などの昔の話をお聞かせいただくなど、親子間の絆が確認できる場面もありました。

このようにして、患者さん、ご家族の在り方を理解しながら、その人生に関わっていけたと思います。在宅医療は、病気だけではなく、患者家族の全体を見ることも求められます。それを大切に、当院は今年も頑張ります。

タウン通信 まつばらホームクリニック

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