2023年12月2日、9日(土)のラジオ在宅NOWの放送のご案内です。
2023年12月のテーマは「痛みに対する治療について(1)」です。
痛みに対する治療について(1)
今回は「痛み」についてお話しします。痛みと言ってもいろいろな痛みがあります。関節痛の痛みならロキソニン(鎮痛・抗炎症)といったものが効くとか、日本人は2人に1人は癌になります。その癌の痛みにたいしては麻薬を使用したりします。
癌の痛みにたしての治療法はだいたい決まっています。
三段階除痛ラダー
これは痛みの程度により、三段階において薬を使っていく方法です。軽度、中度、高度と分けられていて関節痛、神経痛などの痛みは軽度と分けられていて鎮痛剤を処方します。
それでも痛みがとれない場合には、軽めの麻薬を使ったりします。それでも痛みがとれない場合には、しっかりした麻薬を使用していきます。
癌の痛みは必ずしも腫瘍の大きさと比例してはいません。例えば10cm位の腫瘍があっても、違和感を感じる程度で痛みを感じない方もいます。この逆に常に痛みを感じる方もいます。
麻薬と聞くと皆さんかまえるのですが、私たち医療従事者が使う麻薬は麻薬性鎮痛薬(オピオイド)と言うものです。脳や脊髄にあるオピオイド受容体の結合を介して痛みを和らげるものです。モルヒネが一般的です。
但し、人は誰かにほめられたり認められたすることで、エンドルフィン(脳内で働く神経伝達物質)と言う物質がでることで幸福感が得られたりモルヒネの数倍の鎮痛効果があるものが体内から分泌もされます。
一般の人が麻薬に対する恐怖は依存(中毒)するイメージです。但し、緩和ケアネットと言うところがだしている資料では「痛みがある場合、モルヒネを処方しても依存症にはならない」。
オピオイド受容体には、μ(ミュー)受容体・κ(カッパ)受容体・δ(デルタ)受容体の3種類があり、各々の役割があります。基本的にはどの受容体もくっつくことで鎮静作用がありますが、薬理作用に差があります。
もともと痛みがある人にたいしては、モルヒネを使用したくないと言う感情になるカッパ受容体が天秤にかけられるため、麻薬中毒になることがないのです。
但し、痛みがない人がモルヒネを使用すると、安堵感を得れるミュー受容体にだけくっついてしまうため、依存につながります。
しかし、痛みがあったら飲んでねと患者さんに伝えても飲まない方もいます。次回はそういった患者さんにたいしてどんな治療法をしているかをお話ししたいと思います。
(音声でお聞きになる方は下記のラジオを聴取ください)
icon-external-link 「痛みに対する治療について(1)」2023年12月(前半)の放送
icon-external-link『ラジオ在宅NOW』FM西東京 ラジオライブラリー
この番組は、当院の院長 松原清二が日頃医療の現場で感じることを話し、在宅医療に対しての理解をより深めて頂く番組となります。第一週と第三週に本放送、その他の週は再放送をお送りします。
icon-microphone 放送日
2023年12月2日、9日(土)放送分 | FM西東京 84.2MHz