先日、東京フォーラムでの血液学会に知己の病院の先生が発表を行うとのことで、当院とも関わりのある在宅輸血がテーマだったこともあり、楽しみに聴きに行きました。 具体的な内容は、病診連携における在宅輸血の実態でした。例えば、在宅輸血に至った患者像、患者側から見た在宅輸血の満足、不満足な点などです。
意外だったのは患者像でした。自分自身で判断し自分で身の回りのことをできるという方が7~8割もおり、在宅医療導入の方に多い要介護の割合が少なかったのです。
理事長 松原 清二
それでは在宅輸血を行なったきっかけはというと、主だって貧血があり、外来通院が困難になったり、病院からの勧めというケースもありました。
ただ、驚いたのは、満足度が4割程度だったことです。理由としては、在宅では輸血の専門医が関わっていないことや、輸血中にずっとスタッフがついてくれない、といった不安が挙がっていました。
輸血に関しては、輸血前の輸血検体と患者検体の掛け合わせでの使用の確認や、輸血中の鼻水、蕁麻疹(じんましん)や腹痛、下痢、喘鳴(ぜんめい)などの副反応の出現のモニタリング、その処置への体制づくり――具体的には看護師の配置、医師への連絡の迅速さや円滑さなどが求められます。
このように在宅での輸血には手間がかかるのですが、一方で、患者さんの全身の倦怠感や息切れなどの症状の改善には有効なことが多いですし、緩和医療の一環としては医療者も患者さんもやって良かったと思うことがしばしばあります。
当院でも、患者さんご家族は当初は在宅輸血に対し不安を感じていらっしゃいますが、実際に経験されると以後は〈病院に行かなくてもやってくれる、本当に楽だ〉と安心されています。
今回このような発表を通して、当院は輸血に関し、病院と本当に良い病診連携が築けるまでになったとしみじみ感じました。
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オンライン診療(在宅診療NOW 2023年10月)
在宅輸血を通しての病診連携(在宅医療NOW 2023年11月)