2023年6月17日、24日(土)のラジオ在宅NOWの放送のご案内です。
2023年6月のテーマは「健康の社会的決定要因について(4)」です。5月から引き続き同じテーマとなります。
健康の社会的決定要因について(4)
今回は、健康の社会的決定要因の一つである「孤立」が、病気にたいしての影響をあたえる因子であることから、医師の私がどういう風に関わっているかをお話ししたいと思います。
とくに感じるのが患者さんが亡くなってしまい、その配偶者さんが持病を持っていて診察をするケースです。その場合、喪失感があります。とくにご夫婦で、奥さんを先に亡くしてしまった場合、残された男性の亡くなる率は通常より高くなります。
実際に診ている患者さんの中でも複数の事例があります。そういったケースの場合、診察をしていても、旦那さんの虚無感を感じることがあります。そういった場合、週に1回でも話しをするだけでも気を紛らわせてもらうために訪問したりします。
孤独・孤立は医学の領域と定義づけている国もあるほどです。そうなると職種問わずして、そういった患者さんの話し相手になるだけでも大切なことなのかと思います。
現在、独居の高齢者は多く、その中でも所得が、
- 年間200万以下
- 年間200万円~400万円
- 年間400万円以上
で、見ると所得が低いほうが、閉じこもり高齢者の比率が多いのです。
しかし、在宅医療の場合、一般外来よりも費用面で高くなることから、それを拒む方もいらっしゃいます。閉じこもりは多いけど、在宅医師としてメンタルケアができないジレンマもあります。
一方で生活保護の受給者の方で、独居の人と二人以上で共同生活をしている方を比較すると、独居の方のほうが外来を受診している回数が多いのです。恐らく、理由の一つとして、病院に行くことで孤独、孤立を癒しているのではないかと思います。
行政が孤独、孤立にたいしてもう一歩踏み込んでいただけると、多くの人は幸せになるのではないでしょうか。
(音声でお聞きになる方は下記のラジオを聴取ください)
icon-external-link 「健康の社会的決定要因について(4)」2023年6月(後半)の放送
icon-external-link『ラジオ在宅NOW』FM西東京 ラジオライブラリー
この番組は、当院の院長 松原清二が日頃医療の現場で感じることを話し、在宅医療に対しての理解をより深めて頂く番組となります。第一週と第三週に本放送、その他の週は再放送をお送りします。
icon-microphone 放送日
2023年6月17日、24日(土)放送分 | FM西東京 84.2MHz