2024年2月3日、10日(土)のラジオ在宅NOWの放送のご案内です。2024年2月のテーマは1月に引き続き「認知症対策について(3)」です。
認知症対策について(3)
前回はMMSEと言う認知症の検査を行いました。平たく言えば、時間の認識能力、場所の認識能力。また、即時記憶と言って相手の言った言葉を記憶してもらい、しばらく経過してから思い出せるかの検査です。
この即時記憶はワーキングメモリを見る検査になります。ワーキングメモリとは、2つ以上の異なった情報を記憶して作業することです。例えば算数の100-7の答えと回答してもらうことと、自分がやるべき作業の記憶が同時にはいってきた場合を見ているのです。
しばらく絶ってから「さきほど何と言いましたか?」と聞き、言ってもらうことが短期記憶の遅延再生と言います。アルツハイマー型認知症の方などには障害されやすいことになります。
あとは時計を見せて「これは何ですか?」などは言語能力、図形を書いてもらいそれを模写してもらうことは空間認知機能になります。認知症検査ではこういった所を検査して行きます。
ですが、各患者さんにはそれぞれ個性があります。例えば、家の中にいて、まだ昼なのに雨戸を閉めたがったり、植物の水やりをさっきあげたのに、またすぐやろうとしたり、ご家族から見ると明らかに認知症がありますが、先程のMMSEの認知症検査をすると正常値の方もいらっしゃる場合があります。
検査では正常値となることと実際の日々の行動のギャップから、検査結果を伝えたご家族はがっかりされる場合もあります。
それで僕がやる検査では、CDR検査(Clinical Dementia Rating)と言うものです。これは介護者からの情報もふまえてその患者さんの認知症を評価する方法です。
CDR検査(Clinical Dementia Rating)とは
記憶、見当識、判断力と問題解決、社会適応、家族状況および趣味・関心、介護状況の6項目について、5段階で重症度を評価します。
本人への質問もそうですが、ご家族からの情報も大切にしていきます。例えば「数週間前に家族の結婚式がありました。それは覚えていますか?」などの質問します。
また「家の中でトイレの場所や自分の部屋など迷わずに行けますか?」などの質問をしていきます。この他に財産管理なども質問事項に含まれています。
財産管理については、認知症の場合には後見人制度と言うものがあります。家族の息子さんに財産管理を任せるなどがあります。後見人制度については話すと長くなってしまうため、また違う機会にお話ししたいと思います。
地域社会活動(移動の手段は)、家庭生活(献立、味付け、賞味期限)など細かい質問もしていきます。ここまで質問するとその人の自宅での生活感が見えてくる気がします。
家族のいる患者さんの場合はこういった情報を得ることができ、独居の方の場合はケアマネージャーさんなどからの情報となります。
この検査から認知症の進行具合の評価をすることができます。これらのCDR検査は、在宅医療だからやりやすいとも言えます。家に定期的に行くことで目視でわかることも多々あります。
(音声でお聞きになる方は下記のラジオを聴取ください)
icon-external-link 「認知症対策について(3)」2024年2月(前半)の放送
icon-external-link『ラジオ在宅NOW』FM西東京 ラジオライブラリー
この番組は、当院の院長 松原清二が日頃医療の現場で感じることを話し、在宅医療に対しての理解をより深めて頂く番組となります。第一週と第三週に本放送、その他の週は再放送をお送りします。
icon-microphone 放送日
2024年2月3日・10日(土)放送分 | FM西東京 84.2MHz