2024年2月17日、24日(土)のラジオ在宅NOWの放送のご案内です。2024年2月のテーマは1月に引き続き「認知症対策について(4)」です。
認知症対策について(4)
今回は、昨年(2023年度)にアルツハイマー型認知症の治療薬として厚生労働省に承認されたレカネマブについてお話しをしたいと思います。
アルツハイマー型認知症とは
アルツハイマー型認知症とは脳にアミロイドβと言うタンパク質が脳の神経細胞(ニューロン)と言うところに沈着して、神経細胞壊死を起こしていく病態です。
レカネマブと言う薬
レカネマブと言う薬は、脳からでてきたアミロイドβの抗体として作用します。この抗体が免疫細胞を引き寄せてアミロイドβを破壊する役割があります。つまり、アミロイドβの神経毒性をなるべく除去してあげると言うものです。
薬の効果については、アルツハイマー型認知症の初期症状や軽度認知症(記憶力は落ちているが日常生活は問題がない人)で、アミロイドβの蓄積が確認できる人たちに投与したところ、明らかにこれまでの治療薬と比べて、症状の悪化を27%抑制したや、進行を7.5カ月遅らせることができたと言われています。
アミロイドβの蓄積を確認する検査については、アミロイドPETと言うPET検査や画像検査、または背中から髄液をとってアミロイドβがあることを確認することができます。
認知症の症状の度合いについては、早めの介入(軽度)に意味があるんじゃないかと言われています。実際、私も認知症の患者さんを多く診ていますが、認知症がかなり進行してしまっている人(徘徊や介護拒否など)ではなく、そうなる前の薬と言えます。
レカネマブのリスクとメリット
レカネマブは点滴投与する薬です。実際にクリニックでもどこもかしももこの薬を使える訳ではありません。まずアミロイドPETができるところです。また、使用するに薬価が1人辺り年間400万円程度かかります。但し、日本の場合は高額医療費制度があるので、年間14万ちょっとでできると思います。
また副反応として、脳出血があったりするリスクもあります。脳出血にたいしてのリスク管理ができるところじゃないと駄目と言うことで、できる施設も限られてきます。
とは言え、軽度の認知症の方々が重度になることにより、生活の質が下がり介護費負担が増すことを考えると、この処方をしたほうが得なんじゃないかと思います。
将来的な話ですが、もっと良い薬が開発される可能性もあります。アミロイドβを増やさないのは難しい話しですが、アミロイドβが作られる途中の過程でインスリンを分解する酵素があったりします。糖尿病があるような方は、そちらにインスリンの分解酵素が持っていかれてしまうので、アミロイドβが蓄積しやすいとも言われています。
所謂、生活習慣病(糖尿病など)とアルツハイマー型認知症の因果関係はわかりませんが、それらにならないように努力をすることは重要なんじゃないかなと思います。不摂生をしないように運動なども頑張りましょう!
(音声でお聞きになる方は下記のラジオを聴取ください)
icon-external-link 「認知症対策について(4)」2024年2月(後半)の放送
icon-external-link『ラジオ在宅NOW』FM西東京 ラジオライブラリー
この番組は、当院の院長 松原清二が日頃医療の現場で感じることを話し、在宅医療に対しての理解をより深めて頂く番組となります。第一週と第三週に本放送、その他の週は再放送をお送りします。
icon-microphone 放送日
2024年2月17日・24日(土)放送分 | FM西東京 84.2MHz