ご無沙汰しております。3カ月に1回のペースで,この欄を担当している事務の阿南です。
今回は、心に深く残った言葉をご紹介させていただきます。
「自立とは依存先を増やすこと」
これは、小児科医で東京大学先端科学技術研究センターの准教授でもある熊谷晋一郎先生の言葉です。
「自立」という言葉で抱くイメージは、誰にも頼らず、一人で生活できる様を思い浮かべます。しかし、ここでは自立するということは依存先を増やすことと述べています。
どういうことかというと、本来、人は物であったり他の人であったり、さまざまなものに依存しないと生きていけません。その依存先が多い人は一つ一つに対しての依存度が低いゆえに依存していることを意識していない。もし依存先がたった一つしかない人は、その一つを失ったら生きていけなくなるかもと依存度が増し、依存心が生まれます。依存先が多いということは依存心を持ちにくいと言い換えることができるかもしれません。
なぜ、この言葉をコラムで取り上げたかというと、ご自宅で療養をされるご家庭では、家族にこれ以上迷惑をかけたくないと心配する療養者や、介護を一人で抱え手一杯になるご家族がいらっしゃるからです。そんなとき、この言葉が指し示すように、特定の誰かだけでなく、身近な人、地域の存在を頼っていただければと思います。この言葉が、そのきっかけになり、不安や心配の緩和に繋がればと思い、ご紹介させていただきました。
(タウン通信2019年5月8日号より)
Anan 2019-05