最近、脳出血の既往のある発語が難しい患者さんに対して、血圧管理を早めに対応しなければならないケースがありました。早朝時の血圧が高く、脳出血の再発が懸念されたためです。
ご主人は大変マメな方で、患者さんである奥さんをよく看ていて、「よく眠れていないからじゃないかなぁ?」と話をされていたので、睡眠薬を導入したところ、充分な睡眠が得られ、速やかに血圧が下がりました。
ところが安心したのはつかの間で、今度は寝る前に降圧剤を飲むことをかたくなに拒否されるようになりました。ご本人に聞くと、「飲みたくないから」の一点張りです。血圧は内服薬をやめてから、ドンドン高くなっていきました。
そこで、以前飲んでいた薬を飲んだ場合に患者さんはどうなるのか、また、薬を飲んでからどんな感じになってしまうのかなどを、私と患者さんでじっくり腰を据えてお話しました。すると、どうも薬が喉に引っかかって仕方がないとのお話をしてくださいました。
そこで内服薬をOD錠(口腔内崩壊錠)という、口の中で吸収される薬剤に替えたところ、患者さんの内服拒否はなくなり、血圧も以前のような安定した数値に戻りました。患者さんが薬を飲みたくないと話した場合、そこにはどんな背景があるのかを探っていき、患者さんが受け入れられる投薬に切り替えていく必要があると、改めて考えさせられました。
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Dr.matubara 2020-7