先日埼玉県ふじみ野市で若い在宅医の尊い生命が奪われてしまいました。
被害にあった鈴木純一先生とは私も一度食事をしましたが、大変明るく、一緒にいる人間も明るくさせてくれる人でした。
また、私が開業した当初には練馬にいる患者さんを紹介してくれたり、病床がない当院のために、病床のある病院との連携を提案してくれたこともあり、大変面倒見の良い医師でもありました。
理事長 松原 清二
今回の事件もいくつかの医療機関に断られ続けた結果、彼のところに紹介されたと伺っています。こういった困難事例の場合、患者家族の病気の理解、現状の病気に対しての治療方針の確認、気持ちの共有を行っていきます。
今回のケースのように終末期であれば、家族の介護負担が過剰になり、ときに理性より感情が先立ってしまう場合も往々にあるので、再度病気の知識や気持ちを共有し、ご家族が患者に出来ることをお伝えしながら、自宅での介護を持続可能なものにしていく、もしくはそれでも難しければ入院を提案していきます。
ただ、今回のふじみ野市のケースは死後1日経ってからの心肺蘇生をしてくれないために、主治医を銃殺したとのことで、人の感情に抑制が利かない場合の怖さを改めて感じさせられました。
病気や人の死というのは、必ずしも自分たちの思い描いたストーリーに乗るものではありません。また我々医療従事者は、科学である医学、また医師法などの法律に基づいて治療を実践し、患者家族の気持ちや意向を考えながら、総合的に判断していきます。
超高齢社会を日本は迎え、ますます在宅医療は増えていくと思いますが、特に家で看る患者のご家族も、こういった医療従事者の考えを理解しながら患者のみならず医療従事者に関わっていくなど、双方の距離感を認識することが大切ではないかと思いました。
病気や人の死というのは、必ずしも自分たちの思い描いたストーリーに乗るものではありません。また我々医療従事者は、科学である医学、また医師法などの法律に基づいて治療を実践し、患者家族の気持ちや意向を考えながら、総合的に判断していきます。
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在宅医療従事者との距離感 (在宅診療NOW 2022年3月)
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