在宅診療をしていると、患者さんはさまざまな訴えをされます。食欲がない、息が苦しい、足が冷えて痛い・・・。
特にご年配になるほどその症状は多彩で、原因や治療を考えていかなければなりません。
基本は診察ですが、これだけでは当然診断が難しい場合もあり、血液検査や心電図、全身エコーなど検査を行い、それでも診断が困難な場合は検査機器の充実している医療機関に紹介することもあります。
理事長 松原 清二
ただ、動けるレベルが低下している患者さんの場合、医療機関を紹介されても大変だ、という声を、ご家族からも含めて聞くことが増えてきました。
とはいえ転倒する方も多いし、食事の飲み込みが悪く誤嚥による肺炎の人も増えてくる。さらに、心臓疾患も増えてきて、日頃の診察や血液検査やエコー検査だけでは心不全の評価も難しいケースも多くなるなど、これまでの在宅検査での限界を感じていました。
そこで当院では、ご自宅でレントゲンを撮れるようにしてみました。
撮像初日は、慢性的な肺の病気があり原疾患が進んでいるのか肺炎があるのか分からない方がいましたが、レントゲンで右肺に肺炎像を認め、速やかに抗生剤の点滴治療を行い改善しました。
また、同じ日には転倒し左手が腫れ、ご家族が骨折を心配された方も診ましたが、レントゲン上は問題なく、その結果にご家族、ご本人は安心されました。
患者さん本人、ご家族は常に病気に対する不安があります。その不安の解消には、今自分の身体に何が起こっているのかを知りたいと思う方が少なくありません。
在宅でもしっかり応えるためにさまざまな検査は当然必要で、今回特にレントゲン検査は有用であったと思われました。