年末年始は愛読誌の「文藝春秋」の読めていなかった記事を、数月分読んでいました。
特に気になったのは五木寛之氏の『2022年のうらやましい死に方 読者投稿』や、小平市で在宅診療をなさってきた山崎章郎先生のインタビューで、『死後の世界はあってほしい』などがありました。
理事長 松原 清二
『うらやましい死に方』のエピソードとしては、引退したお医者さんで趣味のカメラを抱えて公園に行き、ベンチに座ってそのまま眠るように亡くなったという方のエピソードや、片足を足浴し終わり、もう片方の足浴をしようとした時にふっと気持ち良くなり亡くなってしまった方のエピソードなど、苦しむことなく最期を迎えることに読者の共感が集まっている印象を受けました。
また山崎先生のインタビューでは、ご自身ががんになり、患者という立場になってから、病院での治療をやり尽くし、最期を迎えることのやるせなさについてお話をされていました。
これらの話からは、平均寿命から健康寿命を差し引いた介護療養期間の医療のあり方や、患者さんやご家族の心の機微を捉えながら、どのように医師が関わっていくかが患者さん一人ひとりの人生後半の満足度に関わっていく気がしました。
患者さんは、我々・在宅医療が関わることで、自宅で心豊かになる時がどれくらいあるのだろうか、また、どれくらい不安が解消されているのだろうか。
我々としては、常に自宅でできる検査や治療の可能性を広げ、患者さんの症状が良くなったときには一緒に喜び、苦しいときには一緒に苦しみ、また心の面でも、患者さんの不安を出来るだけ和らげられるように、ご本人、ご家族としっかり向き合い、患者さんの人生の介護療養期間や終末期を少しでも豊かなものにしたいと思っています。
どれくらい尽くし切れているかは分かりませんが、患者さんの人生の良き伴走者でありたいと思っています。
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介護療養に対する医療の手(在宅診療NOW 2023年2月)
介護療養に対する医療の手(在宅診療NOW 2023年2月)