先日病院で患者さんの退院時カンファレンスがありました。がんの患者さんでがんに対して抗がん剤治療や外科的治療の治療の対象からは外れ、下血を繰り返すので輸血を在宅でやって欲しいとのことでした。
その際、病院主治医との話で病名告知はされていたかどうかの話になりましたが、(ご本人は治療はやりようがないことを何となく感じていますが、話しますか?)とのことでした。治療が限られている場合、全てを話すことは患者さんに残酷になることがあります。そこで敢えてそのことは触れずに症状緩和に努めることがあります。
理事長 松原 清二
また別の患者さんでも日頃の診察で(大丈夫です。)と話をする一方で、診察時の視診や触診では顔が痩せ衰え、ふくらはぎを触ると筋肉の痩せが進んでおり、(病気が進行しているな。食べてないんだろうな。)と思いながらも、以前より検査や点滴は希望はされないとお話しされていたので、敢えてその事は触れず、WBCでの日本の活躍を一緒に喜んだり、壁に飾られている写真を見ながら、昔話をしたり、余生をストレスなく過ごしてもらうなどメンタルケアをするようにしていました。
患者側も医師側もお互い言葉にしないけれども、患者さんに安らかな時間を過ごせるようにする、こういった関係性を築くことも医療において大切だと思います。
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以心伝心(在宅診療NOW 2023年4月)
以心伝心(タウン通信4月)