大変暑い夏が続きます。これまで暑熱順化と言ってきましたが、梅雨が明けてからの気温の上昇や湿度の高さは日頃の暑さ対策の努力を吹き飛ばすような厳しさです。
そんな暑さのなか、冷房を入れていないお宅も散見され、ついつい「もったいないから」という理由で、体中汗を流しながら、いすにじっと座っていらっしゃる方が少なからずいます。
「なんだか分からないのだけど体がだるいのよね」と話をされることもあり、経済的な背景に加え、高齢者の暑さに対する感度の低下が室内熱中症発症のリスクをさらに高めているのを実感します。
理事長 松原 清二
先日、都議選の際に、保谷駅に小池百合子都知事が応援演説に来ていました。
その際に「熱中症対策に東京都は水道料金の基本料金を夏場は無料とするので、その分の費用を冷房の使用に充ててほしい」という話がありました。そこで、その話を診察の際に訪問先ですると、「え?そうなの? 知らなかった」とおっしゃる方が少なからずいます。
行政を介した都民を守る仕組みがせっかくあるので、当院としてはそのような仕組みがあることを訪問の際にご説明し、そうしたことによって患者さんの熱中症のリスクを軽減していければいいなと思っています。
この酷暑のなか、多くの人が疲れがたまりやすく、判断能力も鈍くなり、また感情的にも不安定になりやすいと思います。暑熱順化や水分摂取ももちろん大切ですが、日頃の十分な睡眠や室温管理、日差し対策、さらにはふらつき、めまい、けん怠感、食欲が落ちているなどの症状がある際は、積極的に涼しい環境で休むことが大切だと思います。