
2025年8月2日・9日(土)のラジオ在宅NOWの放送のご案内です。
2025年8月前半のテーマは「暑熱順化に頼らない(1)」です。
暑熱順化に頼らない(1)
進行:田中ヒロコさん 回答者:松原清二 理事長

では松原先生、本日もどうぞよろしくお願いいたします。

よろしくお願いします。

先生、まだ仕事着ですよね。

そうですね。

今日忙しい合間のラジオということですが、よろしくお願いします。

はい、よろしくお願いします。

今日はどんなお話し先生を伺いますか?

暑くないですか?最近。

暑くてもうね、すべてのやる気を失ってます。暑いですよね。

結構僕頭がボーッとしていることが多いんですよ、仕事を終わると。

それはやっぱり暑さですか。

なんかこうモアンモアンした感じがして、それで体を冷やしたり、水分を多めに摂ったり、睡眠をしっかりとると症状消えるんですよ。あと世の中、今日なんて比較的そうだったと思うんですけど、気温が低くて湿度が低いと大丈夫だったんで。ということは熱中症ですよね。

そうですよね。でも体温越えの暑さとかがずーっと続いているので、これってみんな感じてますよね。

僕が対象にしているのはもちろん病気を患っている人なんですけど、それだけじゃなくて元気な人もみんな調子は悪い。

そうですよね。でも先生忙しいから。いろんな所を回ってらっしゃるので。でも先生の患者さんは大丈夫なんですか?この暑さ。

いやー、ご年配の人って暑さに対して感覚が鈍いんですよね。だから、むしろ毛布をまとったり。

エアコンつけて?

つけずにね。

つけずにですか。

最近もあった話としては、ご自宅でご療養されていて旦那さんと息子さんは外に出ていて夕方5時くらいに帰ってくると、部屋がもう蒸し暑いと。で、お母さんは毛布羽織ってて。それで当然冷房をつけるじゃないですか。そうすると30分くらいすると寒いって言って着るんですよ。

でも寒さを感じる?

感じる感じる。それで息子さんが「馬鹿言ってんじゃねぇ、熱いんだよ」って言って冷房つける。「寒いのよ」って言ってまた消すの繰り返しが続いちゃって、患者さんの調子が悪いって話があったんですよ。

先生の患者さんは寒いって感じるってことは別に冷房つけなくても、体調的には全く問題ないですか?

そこが結構重要なポイントで、体表から水分は汗とは違う形で出ていくんですね、揮発されて。そうするとどんどん脱水が加速していって元気がなくなっちゃうんですよ。

じゃあご本人は寒いって感じてても脱水症状なってたりとかっていうことはあるんですね。

そうそう。だから暑いと思わずしてむしろ寒い思ったりして毛布をかけることによってさらに汗が出ていってしまう。

喉渇いたとかもあんまり感じない。

あまりない。そこはね、ご年配の人の熱中症の管理の難しさ。

そうですね、そうすると周りがしっかりとちゃんと見てないと危ない、命にも危険が。

そこが結構難しくて、そう思うじゃないですか。周りが見てないとって。

そうなんですよ。

でもさっきの話だと親子喧嘩が発生したり、夫婦喧嘩が発生したりするんですよ。で、「先生何だかわかんないけど調子悪い」って言われちゃって。

「そうじゃなくてもともとのご病気の進行もあるんだろうけど熱中症もあるんだよ」って話をすると、「そうかしら」みたいに納得されないんですよ。

じゃあご自身は全く自覚がないんですね。

去年ちょっとね、色々お見せしたやつで、これはタニタから出てるやつなんですが、熱中症指数っていうのがあって、輻射熱とか湿度とか、実際の外気温とかを総合的に評価して熱中症指数を出して、注意警戒、厳重警戒、危険っていう風に出てくるんだけど、ここらへんのマーカーを見せて「あなたは今この環境にいるから危ないよ」って言って、「あ、そうなの?」って言って渋々納得してもらうようにしています。

先生もね、ストップウォッチみたいな形の、普段からもう最近は首からかけてらっしゃる?

間違いなくやってます。

今はどうなんですか?

この部屋は注意レベルです。

これ涼しく感じるのに注意レベルなんですか?

湿度が63.4%で、外気温が26.9℃だとまだ注意レベル。だからもうちょっと除湿した方がほんとはいいんですけど、今除湿してるんですけどね。

26.9℃だったら全然いいんじゃないと思っても、結局湿度とかが高かったりとかそういうものも影響してくるってことなんですね。

ですから気温とか湿度とか輻射熱とか、そういったところが3つ絡まって大体不快指数っていうのが決まってくると。

といっても本人が不快に思わなかったらってことですもんね。

だからそこのギャップを埋めるのがこの指数計かなと思っているんですよ。

見える化するとみんな人って納得するんですね。

だからあなたは感覚はそうかもしないけど、こういう指標であなたはこういう環境でいるわけだからそこは特殊化しないで納得してくださいっていう話をしてます。

先生が言うとまた納得ですよね。家族とかだとやっぱりなかなかね、そういうのって、家族でもあって、会社とかでもそうだけど、私はエアコン嫌い、風が嫌い、熱いって人もいるし。

だけど先生がこうやって数字を実際見せてくれてっていうと、ああそうなんだってすごい納得できる。

そういう風に思ってくれるといいですよね。第三者が言うことで納得。でもね、環境調整が一人だと難しいんですよね。全くの一人暮らしの人だったら自分自身の人生をそのまま全うするというのも一つの考え方かもしれないけど、ご家族の方も数人いてその患者さんもいてというと中々そうもいかないし、そうなってくるとやっぱり入院しようかという話になってきちゃうんだよね。

だから治療っていうよりも環境っていうか。環境もそれだけだったら病院なの?って感じもあるんですけど、施設とかでもよくない?みたいな話になってくるんですけど、だいたい施設をよく利用している人だったらいいんだけどあまり使ってない人とか施設側の人も分からないですしね。まずは病院で調整という気持ちになりがちなんで、しょうがないのかなというふうに思ってみてますけど。

そうなんですね。でも日頃の生活っていうのが、ご病気されながらでも健康には重要ってことなんですね。

めちゃくちゃ重要ですよ。だからこの熱中症の時に強く感じさせるのは、人の健康って、日頃の衣食住の中で、住っていうのは結構重要なんだなっていうのを改めて感じます。

そうですね。それが先生が入ってくれていることによって、これでいいんだとかこうした方がいいんだっていうことを意識できるからいいですよね。おうちの環境を見てくださるっていう在宅医療。

それはそうですよね。だから結構難しいのがさ、暑さ指数とかさっきの輻射熱とか、日差しの照り返しとか、そういうので不快指数が上がるって話したじゃないですか。

そうするとベッドが窓際にあって日差しが結構ある家で温める家とか、それはじゃあシャッターをおろしましょうって話にはなるんですけど、そしたら朝も夜もなくない?みたいな話になっちゃって。

それは患者さんにとって日内変動の切り替えができないから、ベッドの位置をちょっと離してとかそういう話になってきたり、離してシャッターを開けるとか窓を開けるという話になってきて。意外に治療という事以外の環境に関して頭ひねることが多いですよね。

そっか。住んでらっしゃるところを見ているから、その位置とか。インテリアコーディネーターみたいな(笑)

でも本当そんな感じ。

そうですよね。環境を整えてくれるっていうのも、やっぱり先生の中では、そこが仕事だったり。通院とかだとこの人どういう環境なのかとかは分かんないですよね。

それは絶対分かんないですよね。基本やっぱり病気に対してだけ集中したいからね、あんまり環境までは行き届かないし、他の人の仕事になってくる。

そうですよね。わかりました。そういったところでも助けられてるってことなんですね。

在宅医療ってそういう面はあるんじゃないですかね。そう思います。

ありがとうございます。うちもちょっと見直してみます。

重要かもしれません。

今日もありがとうございます。
(音声でお聞きになる方は下記のラジオを聴取ください)
icon-external-link暑熱順化に頼らない(1)2025年8月2日・9日(土)の放送
icon-external-link『ラジオ在宅NOW』FM西東京 ラジオライブラリー
この番組は、当院の院長 松原清二が日頃医療の現場で感じることを話し、在宅医療に対しての理解をより深めて頂く番組となります。第一週と第三週に本放送、その他の週は再放送をお送りします。
icon-microphone 放送日
2025年8月2日・9日(土)放送分 | FM西東京 84.2MHz