「生きがいについて(1)」ラジオ在宅NOW 2024年11月のテーマ

「生きがいについて(1)」ラジオ在宅NOW 2024年11月のテーマ

2024年11月2日、9日のラジオ在宅NOWの放送のご案内です。
2024年11月前半のテーマは「生きがいについて①」です。

まつばらホームクリニック『ラジオ在宅NOW』

生きがいについて(1)

進行:田中ヒロコさん 回答者:松原清二 理事長

田中広子

では松原先生、本日もどうぞよろしくお願いいたします。

松原清二

よろしくお願いします。

田中広子

先生今日は、ダンディな・・・

松原清二

あぁ~、どうもありがとうございます(笑)

田中広子

白いジーパンに黒いシャツに、ちょっとお髭があってダンディな感じで、ちょっと緊張します。いつもの仕事着と違いますね。

松原清二

(笑)ちょっと早く終わったんだよね。

田中広子

そうなんですね!では、今日も早速お願いいたします。

松原清二

よろしくお願いします。
最近ですね、結構診療してて、難しいなって思う一言を言われることがあるんですよ。

田中広子

はい、どんなことですか?

松原清二

「長生きするってつらいんだよね」っていうふうな・・・。

田中広子

重い・・・長生きするってつらい・・・重い・・・。私も50を過ぎてから、すごくこの先の人生とか、あと何年とか、長く生きた場合とかいろいろ・・・ただ患者さんの長生きするのがつらいっていうのが、やっぱりそれってすごく歳を重ねていかないと言えない、重い言葉ですよね。

松原清二

80歳後半とか、90歳とか、100近くの方々が、長生きするっていうのはつらいのよねって僕におっしゃるんですよ。
そうすると僕も、下うつむくんですけど、。僕もね85歳とかじゃないんで、その心境っていうのをなかなか寄り添うというか、理解をするっていうのは、すごい難しいなというふうに思ってるんですよ。

田中広子

そうですよね。やっぱ立場っていうのが違うし、実際具体的には、どんなことがお辛いんですか?

松原清二

本当にただ単に生きていくのはつらい、だからと言って食欲がなくなっちゃったりとか、人に会いたくないとか、そういう、うつ症状ではなくて、単純に生きていくのがつらいと、なんか聞いていると、ご高齢になられて、できなくなることも増えるっていうのが、僕なんかの見立てなんだけど。

松原清二

例えば物が見えにくくなる、人と会話をするにしても耳が遠くなるから、聞き返すことも増えてしまって、結果的に相手に迷惑をかけちゃってるんじゃないかっていうふうに思ってしまう。補聴器つけたとしても、あんまり合わない。歩くにしても足腰がやっぱ弱ってきて、痛みが出て、歩くのもつらい。寝るのも仰向けだとちょっと腰痛い・・・っていうような、病気というか老化による苦しみっていうのもあるんですけど、単純にそれだけじゃなさそうなんですよね、お話をすると。

田中広子

でもなんかちょっと私も五十肩で、すごく痛くてつらくって、若い子でも、なんだかんだ「も~やだ、やだやだ」って思いながら生きてる子もいっぱいいると思うんですよ。でもまたそれの類と違く、その歳を重ねたが故のっていうのがありそうですよね。

松原清二

あとね身体もそうだし、社会環境。例えば元旦、年賀状が今まで来てた人が来ないと、あと小学校の同窓会やっても、昔はたくさん来てたのが、今はポツポツしか来ないと。そういうことで、自分だけが生き残ってしまったっていうか、孤独を感じる感があるみたいなんですよね。

田中広子

すごく長生きされてて、それってすごいいいことだと思うんですけど、なんか自分だけ取り残されてしまったみたいな感覚。

松原清二

そうなんだよね。それってなんか、なかなかそういう・・・やっぱり自分もまだ50だし、理解するっていうのはちょっと難しいところはあるんだよね。ただ孤独なんだな、できないことが増えてお辛いんだなっていうのはわかるんですけどね。あとはですね、なんか見てて、僕も励ましをしたいじゃないですか。

松原清二

そんなこと言わないでさ、やっぱり患者さんが生き生きとしてる姿を見るのが嬉しいじゃないですか。思い悩まれるより。悩まれている人のお気持ちを、全部拾い上げることは少し難しいけど、やっぱり何とか元気な姿を見たいと思って、よく言うセリフを言ったりもするんですよ。

松原清二

例えば、「おうちにいるとちょっとふさぎ込んでしまうから、旅行とか行ってみたりして、気分転換したらどうですか?」「温泉入ったらどうですか?」あとは「何か他に気持ちが乗るようなのを、例えば「どういうの好きでした、昔?」とか、いろいろ聞いたりするんですよ。そうすると「旅行はもう散々行った。やり尽くした」と、ちょっとチーンって気持ちがある(笑)。

田中広子

やり尽くした・・・。でもどうなんだろう・・・でもちょっとやっぱり年齢が・・・なんだろう・・・私達とやっぱり経験されてる人生が全然違うので、何とも言えないですけど、例えば1日の中で、「これ美味しいな、幸せ!」みたいな・・・私でもなんか、自分も生きがいないなって思いながらすごい聞いていたんですけど(笑)

松原清二

生きがいって難しいんだけど・・・。

田中広子

自分も、今すごい考えちゃって、生きがいって何だろうとかって思っちゃいましたね。

松原清二

生きがいをあえて提起するんだったら、その生きる張り合いを持ちながら生き続けるっていうことが、生きがいのような気がするんですよね。

田中広子

でもなんか自分だけのために生きるって、結構しんどいじゃないですか。

松原清二

それは、何か結構重要な言葉でね、ご飯とかも家族のためだったらば作ってたけど、1人になったらもう面倒くさいから、お弁当を取るようになったと。ところがお弁当取るようになったら、何か自分の好みじゃないし味気ない。っていうようなことをおっしゃる方が割合多くて、そうするとさ、ヒロコさんがおっしゃってた、自分のためだけっていうのは、人間はちょっと難しいのかもしれない。それは年齢関係なくね。

田中広子

そうですね、確かにそれはそうですね。

松原清二

ご年配の人は、近しい人がたくさん亡くなっていって、自分のためだけとか、そうなってるのかも知れない。それが虚しいと思ってるのかも知れない。

田中広子

そうですよね・・・そうですよね・・・でも・・・そうですよね。そこで、でもつらいって言われてしまうと、こっちもやっぱつらくなっちゃいますね、気持ち的に。

松原清二

そうそうだからさ、なるたけね、昔、得意だったことをお聞きして、例えば「先生見て、私これちょっと手芸やってたんだよ!」「すごいじゃん!またやりゃいいじゃん」って言ったら、「目が悪くてもできないのよ」とか。

田中広子

それは、でも確かに。やっぱり根詰めてやらないといけないし。手も痛くなっちゃう。

松原清二

それも言われたんです。「手も痛くなっちゃうから無理よ」とか言って。ですから、この寄り添うっていうのがいかに難しいか、その生きがいっていう意味でだよ。病気でつらいとか苦しいとか、僕は医療っていう手段で寄り添うことはできるし、それで症状緩和とか努めることはできるんだけど、生きがいを求められちゃうと、あ~、俺って小さい存在だなとか、やっぱり思ったりしますよね。

田中広子

でも先生もおっしゃってて、寄り添うとか、あとその時間を共にするってことってすごく重要だと思うので、先生と一緒の時間っていうのもすごく貴重なのかなって私は感じたんですね。

松原清二

っていうふうに思ってもらえるといいかなと思ってますけどね。

田中広子

なんか絶対私も、自分がいくつまでいけるか分からないんですけど、その80ぐらいになったときに、きっと先生の患者さんの気持ちがすごいよくわかるんだろうなって。

松原清二

そうなんだろうね。それは僕も同じだと思うんだよね。やっぱり85とか90とかに、自分がもしなれた場合、やっぱり若い頃って分かってなかったんだなとか、いや想像通りだったなって思うかもしれないし、結構難しいよね。

田中広子

はい。生きがい・・・先生、今日も本当に・・・今日はちょっと考えさせられるテーマでした。ありがとうございます。

(音声でお聞きになる方は下記のラジオを聴取ください)
icon-external-link 生きがいについて① 2024年11月2日・9日(土)の放送
icon-external-link『ラジオ在宅NOW』FM西東京 ラジオライブラリー

この番組は、当院の院長 松原清二が日頃医療の現場で感じることを話し、在宅医療に対しての理解をより深めて頂く番組となります。第一週と第三週に本放送、その他の週は再放送をお送りします。

 icon-microphone 放送日

2024年11月2日・9日(土)放送分 | FM西東京 84.2MHz
まつばらホームクリニック『ラジオ在宅NOW』

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