2024年8月17日、24日、31日のラジオ在宅NOWの放送のご案内です。
2024年8月のテーマは「腹水について(2)」です。
腹水について(2)
進行:田中ヒロコさん 回答者:松原清二 理事長
松原先生、本日もどうぞよろしくお願いいたします。
今日は腹水の処置についてお話をしたいというふうに思ってます。この前は、例えば塩分控えましょうとか、利尿剤飲みましょうとかそういう話をしたと思うんですね。それでもやっぱり限界っていうのがあるのも事実なんですけど、そうすると症状がかなりひどい方の場合はお腹の水を直接抜くっていうことをします。
やっぱり抜くんですね。
そうですね。やり方としては、エコー、超音波をお腹に当てて、大丈夫だなっていうところを、見立てを立てて、腹水を抜くということをします。
そもそも腹水ってお腹に溜まるものじゃないんですよ。
例えば皆さん、肥満とかは別ですけども、普通はお腹がそんなにボンと出てるわけじゃなくて・・・。
それは何か、針とかを刺して・・・?
なるほど!そうですね大きさで言うと3~4ミリぐらいの中に鉄心の入った穿刺針があって、それをブスッと刺して、大体3リッターぐらい抜くようなこともやってます。
3リッターですか?普通どのくらい入っているんでしたっけ?
普通のだと50mL以下ですよね。
それが3リッターぐらい・・・それ以上溜まってたりされるんですか?
3リッター以上溜まってる方もいらっしゃる。
いらっしゃるんですね。
昔はね、患者さんのお腹の水を抜くときって、単純に針刺して水抜いてただけなんだけど、実は一緒に水抜くと、この前お話した血管の中のアルブミンがどんどんどんどん一緒に抜けてっちゃうもんだから、そうするとむくみやすくなっていくんですよ。
血管の中にアルブミンがあってアルブミンが水分保持する、それがなくなってくると、お腹の水が溜まりやすくなってて、患者さんが弱ってくるんですよね、見てると。
逆にそれを取って、一瞬は楽だけど、また弱っちゃう?
そうそう。数年前まで他の緩和ケアやってる先生とかの様子とか見ても、「最近はお腹の水って抜かないんですよ」みたいな話にもなってたりもしてて、それもありだよなっていうふうに思ってたりもしてたんですよね。ただそうは言いながらも、患者さんもお腹張ってつらいじゃないですか。
あぁ~、そっか。
弱っていく姿を見たくないっていうのも、当然だけど、一方で苦しいっていうのも事実じゃないですか。何とか方法ないかなっていうふうに思ってて、そこで最近ちょっと始めたのが、カート療法っていうのを始めたんですよ。
弱っていく姿を見たくないっていうのも、当然だけど、一方で苦しいっていうのも事実じゃないですか。何とか方法ないかなっていうふうに思ってて、そこで最近ちょっと始めたのが、カート療法っていうのを始めたんですよ。
弱っていく姿を見たくないっていうのも、当然だけど、一方で苦しいっていうのも事実じゃないですか。何とか方法ないかなっていうふうに思ってて、そこで最近ちょっと始めたのが、カート療法っていうのを始めたんですよ。
水を取っても、その水の3L取って3Lを戻すんじゃなくって、濃縮されてるから、量は減ってって感じでなんですかね?
実際自分のところでやってみると、大体1回につき4000ccぐらい抜けてるんですけど、濃縮される量が回数によるんだけど、350から500~600。かなり濃縮されるんですよ。
しかも、体にはちょっといい成分・・・。
アルブミンが入ってるから、そしたら戻せるっていう意味があるかなというふうに思います。ただこれちょっと昔からある治療ではあるんだけどね、あんまり普及しなかったんですよ。背景としては、1回ろ過かけるんですけどね、結構時間かかるんですよね。
腹水取って、我々の場合クリニックに戻ってきて、それを翌日に濃縮するんですけど、ろ過するときって、ろ過器の中のフィルターがあって、そこを通すんですよね。通すときにその白血球成分とか壊れちゃったりして、発熱の原因物質のサイトカインっていうちょっと難しい名前のものがあるんですが、それが漏れ出てきたりしてて、熱が戻したときに出やすくなると言われてるんですよ。そういうのもあるし、手間もかかるってことで、あんまり実は普及しなかったっていうのが現実なんですよ。
ろ過するのもやっぱり時間がすごいかかる?
かかりますね。かかるもんですから、機械を使ってろ過させる方法と、うちみたいに自然的でやる方法、場合によってちょっと時間押しちゃう場合は、スタッフが手で押したりとかすることもあるんですけれども、いずれにせよ少し圧を腹水にかけることによって、途中のろ過機のフィルターを通るときに、さっき言った炎症性のサイトカインが出てきちゃうと、熱が出やすくなっちゃう。
でもあえて、その方法に先生採用するっていうのはどうして・・・?
何か例えば文献とか調べてみると、がんとかの場合炎症性だから、白血球成分がたくさんあって、サイトカインがたくさん出てきちゃう。それが発熱の原因になるってよく言われているのと、無理やりろ過機でバーって回すと、実はそれが熱が出やすいっていうのも言われてるんで、僕の場合は今のところ、がんの人やってなくて、肝硬変の人だけやってるんですよ。
病状によって、大丈夫かなっていうことですね。
そうすると、もう1回腹水を戻すっていうときに、解熱剤あらかじめ投与はするんですけど、結果的に熱出ないんですよ。だからこの考え方だと患者さん負担は少ないかなと思って今やってますね。
へえ~、肝臓から作られるアルブミンっておっしゃってましたもんね。
はい。
それが濃縮されて戻して・・・やっぱり患者さんは、肝硬変の患者さんとかをそれ戻されて、結構体調良かったりとかあるんですかね?
今やってる患者さんは、本当にね、すごいお腹なのよ。双子?っていうぐらいお腹張っちゃってるんです。
じゃあ、ご自身もちょっと苦しかったりする?
全くないんですよ!
えぇ~!?そうなんですか?
全くないんですけど、お腹に腹水が溜まりすぎてるから、地域の機関・病院で、お水は抜いてたんですけど、やっぱりおうちでやってもらったらどうだっていうことで、うちに紹介が来たんですね。おうちいくと、水は抜いてですねやっぱりペコンってへこむじゃないですか。
1週間後とか、普通に居間で座ってらっしゃるんで、ちゃんと座れるんだなっていう、そういう意味での生活の質を改善することはできてるというふうに思ってます。
そっか普段溜まってしまう状態だと、座ることもあんまり・・・。
ちょっとね、ずっと同じ姿勢ってのは大変なんじゃないかなと。
そうですよね。
間は大体2週間空けてやってますけどね。
じゃあそれを繰り返し繰り返し・・・。
やってます。本当はね間をちょっと開けたらね、患者さんにとってハッピーなんじゃないかなと思うんですが、2週間経っちゃうと、やっぱりドーンときちゃってるんで、その人・・・。
2週間で結構溜まっちゃってます?
戻ちゃってます。ただ何か文献とか見てみると、やっぱり腹水を1回抜いて、それから1ヶ月とか抜かないでいい人たちっていうのは、反応している分、いわゆる レスポンダーだって言われてる部分で、そういった人たちの方がより恩恵は大きいかなというふうには思ってますけどね。
でも本当にラジオで先生がお話しするもの、次々次々いろんなものにチャレンジされてる。患者さんに合わせて。ご自身が受け入れる患者さんに合わせた治療をされてるんだなと思って、本当に改めて。すごいなって思います。
患者さんが訴えてくる症状とか、そういうのを解決するのは、我々の仕事ですからね。
でも、どっちかって言ったらなんか自分がやりやすい医療に転ぶ先生と、先生みたいに患者さんの受け入れてっていう、みんなそうなんですか?
僕はちょっと少数派かもしれませんけど(笑)やってる先生はここら辺だとカート療法は僕だけだから。
そうなんですか。お話聞いてる限りでもすごく時間と手間がかかってらっしゃるっていうのが、私達素人でもわかるので。
あとスタッフが支えてくれてますからね!
素晴らしいですよね!本当にね!
もちろん水分が溜まりやすいと、腹水が溜まりやすいとか、いろいろあるのは、例えば血管の中に、普段の食事が塩分が多かったりすれば、実はナトリウムっていうのも血管の中にある程度水分を溜め込むものですから、塩分を少なくしちゃえば、塩分が多いと血管の中に水分がワーッて増えてきちゃうんで、そうすると結果的にはその露出していく水分も増えていってしまうっていうことんなるんですよね。
もうとても助かってます。
本当です。もうラジオとしてみんなスタッフの人も本当感謝ですね先生。
いつもありがとうございます。
ありがとうございます!先生、本日も楽しいお話と、タメになるお話ありがとうございました。
こちらこそ。
(音声でお聞きになる方は下記のラジオを聴取ください)
icon-external-link腹水について(2)2024年8月17日・24日・31日(土)の放送
icon-external-link『ラジオ在宅NOW』FM西東京 ラジオライブラリー
この番組は、当院の院長 松原清二が日頃医療の現場で感じることを話し、在宅医療に対しての理解をより深めて頂く番組となります。第一週と第三週に本放送、その他の週は再放送をお送りします。
icon-microphone 放送日
2024年8月17日(土)、24日(土)、31日(土)放送放送分 | FM西東京 84.2MHz